日本語教育能力検定試験に合格した加納さん、LSEアカデミーで教鞭を執る鈴木講師、 そして本誌・武田編集長による座談会を開催。なぜ資格を取ろうと思ったのか?試験合格までの苦労など、心境を振り返ってもらった。
武田 :有資格日本語教師養成専門校であるLSEアカデミー(以下LSE)で学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
加納 :せっかく習うなら資格が取れるものがいいと考えました。また、主人がタイ人なので、ハーフになる子どもにしっかりとした日本語を身につけさせたいと考え、受講を決めました。
武田 :授業を受けた感想はどうでしたか?
加納 :最初は、教科書を読んでもなかなか理解できなかったのですが、先生が準備してくださるプリントを読み、説明を受けることで理解できるようになりました。とてもわかりやすい授業ですね。
武田 :楽しかった点は?
加納 :授業自体はあっという間。毎回新しいことを学べるので、すべての授業が楽しかったです。当初は日本語の文法を重視した勉強になるのかと思っていましたが、言語をどういう過程で習得していくのかなどさまざまな分野について学びました。自身の言語獲得の過程を客観的に見ることができ興味深かったです。
武田 :一方では、どんなところが壁になりましたか?
加納 :まさか日本語のリスニングでつまずくとは思っていなかったです。外国人が言い間違いをしたときに、口の中がどうなっているのかを指摘するという問題がかなり難しかったですね。
鈴木 :例えば、トンカツをトンカスと発音した時の「ス」の口の中はどうなっているのか、など日本語の50音全部を覚えないといけないんです。
武田 :それは大変ですね。では、どういったところにやりがいを感じますか?
加納 :最初はわからなかったのが、少しずつ問題が解けるようになり、リスニングが突然わかるようになったりした時はうれしかったです。400字の記述問題もあり、最初は何を書いていいかわからない状態だったのですが、先生の指導を受けるとスラスラ書けるようになりました。
武田 :1日に何時間くらい勉強をしていましたか?
加納 :最初の半年間はそれほどでもなかったですが、試験直前は日によっては1日中勉強していました。
武田 :家庭との両立は難しかったのでは?
加納 :その時は妊娠5ヵ月だったので、家族は主人だけ。主人は全面的に協力してくれました。時には外食してくれることもあり、助かりましたね。また、タイだからこその環境だと思いますが、アヤさんがいたので、自分の時間を確保することができました。
武田 :旦那さんは理解してくれましたか?
加納 :集中できることが見つかってよかったねと言ってくれました。
武田 :お子さんに日本語を教えたいとおっしゃっていましたが、その他にどういったことを考えていますか?
加納 :子どもを保育園に預けられるようになったら、まずは近所で教えられればと考えています。私はバンナーに住んでいるのですが、付近には日本語を勉強したい人が結構いるんです。英語と中国語の学校はあるのですが、日本語学校はありません。知り合いのタイ人から「教えてほしい」と言われるので需要はあると思っています。ただ、可能であれば多くの人に教えたいので、小さい規模でも教室を開きたいですね。
武田 :LSEで学んだことで、大きく変わった点はありましたか?
加納 :以前は「タチツテト」が言えない人にできるまで言わせたり、強引な教え方をしていました。ただ、彼らはそもそも発音の仕方がわからないんです。日本人にとってのタイ語も同じだと思いますが、最初の段階から違いがわからない。LSEに入り、その説明が正確にできるようになりました。言語の違いを論理的に理解できるようになったわけです。口の中の動き(口腔断面図)を学べたことは今後も生きてくると思います。
武田 :資格を取得したことで、晴れて日本語教師になれますね。
鈴木 :現在、日本においては日本語教師が不足しています。昔とは異なり、多くの日本語学校で日本語教師を必要としている状況です。LSEの卒業生でも、合格後に本帰国し、日本語教師として頑張っている方が多数いらっしゃいます。
武田 :駐在員の奥様も日本へ帰った時に、すぐに仕事を探せるわけですね。つまり資格を得るメリットは大きいと。
鈴木 :やはり学習で得た知識は、一生の宝物です。日本に戻った後も仕事ができ、さらには国際交流もできる。海外生活を経験した方だからこそ教えられることも多いので、ぜひ日本で教壇に立ってほしいと思いますね。
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