“製造大国”ニッポンとドイツが揃い踏みの4日間で10万475人が来場!
ASEAN最大級の金属・工作機械展示会「METALEX 2019」が11月20〜23日の4日間に渡って開催された。
今年は世界50カ国10地域から4000社が出展。製造大国タイにとって最大のイベントだけあって、4日間で延べ10万475人が会場を訪れた。
出展企業
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会場の様子
METALEX史上初! 製造先進国ドイツとパートナーシップ
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今年で33回目となる、同イベントのテーマは「New Smart Technology」。そこで、今回は世界最高峰の製造先進国ドイツとパートナーシップを結び、第4次産業革命と言われる、製造現場へのIoTや人工知能(AI)などのデジタル技術を活用を取り組む「インダストリー4.0」発祥国であるドイツからも多くの企業が出展し、注目を集めた。
主催者Read Tradexs社のスッティサック専務取締役は「METALEX史上初の製造先進国ドイツとパートナーシップを結び、ドイツ政府機関とも協力関係を持ちました。Siemens、Chiron、Emuge、Frankenといった最先端技術を保有するドイツ企業48社が出展。中でも、『UMATI(ユーマティ)』という工作機械のスマート化に向けたインターフェースは必見です」とイベントの新たな展開を発表した。
世界企業が参画する 「UMATI」
「UMATI」とは「universal machine tool interface」の頭文字をとったもので、その名の通り「工作機械がネットワークを介してシステムと接続しデータ交換をするための共通のインタフェース規格」のこと。VDW(ドイツ工作機械工業会)が主体となり、日本を含めた多くの工作機械メーカーや制御装置メーカーが参画してその規格化に取り組んでいる。
2019年9月の時点で、すでにドラフト版が何度か改定されるところまで議論は進んで来ており、正式版のリリース準備に入っている段階だという。
タイへのドイツ製機械の輸入額 9月だけで310億バーツ
工作機械の最先端国であるドイツ。会場には、ドイツ連邦経済エネルギー省のトーマス・バーライス大臣も足を運んでいた。トーマス大臣は「今年1〜9月のタイの産業用機械の輸入額は390億バーツだが、そのうち、ドイツの機械は310億バーツ(9月)を占めています。タイでドイツ製の機械が好まれている証拠です」とタイ市場のポテンシャルの高さを示した。
METALEXの顔はニッポン!
今年のMETALEXでは、製造大国ドイツの参加が目玉の一つだった。とはいえ、会場に一歩足を踏み込めば、目立つ場所の多くは日本企業が陣取る例年通りの姿があった。
コンパクトロボットアームで有名な総合機械メーカーのナチ テクノロジーの寳島章ゼネラルマネージャーが「今年は新シリーズを展示するとともに、弊社のロボットアームが製造現場以外でも活躍できるほどの汎用性があることを示したコンセプトにしました」と話す通り、同社ブースには、ロボットが飲料を作り運んでくれる姿に多くの人が釘付けになっていた。
また、工作機械を取り扱う商社「YONEZAWA ENGINEERING ASIA(THAILAND)」の谷田貝太一マネージングダイレクターは、タイ経済低迷を危惧する声が高まっていることについて「バーツ高や米中貿易摩擦の影響で、確かに今年や来年は厳しいでしょうが、そうした中でもタイ経済の成長が止まっているわけではなく、あくまで成長が一時的に鈍化しているだけ。ニーズを汲み取ることで、好調な企業もあります」と話した。
他にも、現状の厳しさについての声は挙がるものの、将来的なタイ市場の先行きを暗いと話す人は少なかった。古くから多くの日系製造業が進出するタイは、盤石な裾野産業が構築されているからだ。
オール・ジャパンで出展!
一方、今回のMETALEXには、岡山県や和歌山県、大阪府堺市など中国・近畿地方の7自治体が参加した他、11年連続でジェトロ・パビリオンが開設。16都府県から過去最多となる52社・10団体が出展した。
また、昨年に続き、東京都中小企業振興公社の総合ブースには14社が参加した以外に、METALEXの日本国内代理店であるアクト・インターナショナルが取りまとめた53社が、共通ロゴ「Japan.Monozukuri」を用いて出展するなど、「オール・ジャパン」のブランディングに力を注いだ。METALEXの顔は、あくまでニッポンであることは揺るがなかった。