シンセイ(タイランド)
自動車向けの車載精密製品、精密電子部品などの各種表面処理
「金・銀スポットめっき」をタイで唯一請け負う高い技術力が強み
精度の高い技術を有する表面処理企業として定評のある「シンセイ」。タイ進出は2001年、工場はロジャナ工業団地。進出当初は、電子部品業界が主な取引先だったが、2011年の洪水以降は自動車業界からの引き合いも増え、現在は電子部品6割、自動車4割。取引先は日系企業85%、日本人スタッフ3人とタイ人スタッフを合わせて従業員は約270人。営業マンはいないが、中山正之マネージングダイレクター(以下MD)をはじめ、高い知識を持つスタッフを中心とした、きめ細やかな提案力が顧客からの信頼を勝ち得ている。
強みは何よりも技術力であり、特筆すべきはタイでは同社のみが行うことができる「金・銀スポットめっき」。0.02μmや0.20μmという目視では分からないレベルのメッキ厚を自由自在にコントロールする技術。単に薬液に浸す、いわゆる“ジャブ付け”に比べて、必要最小限だけをめっきできる技術は素材のロスをなくし、経費節減に大きく寄与する。
無駄を排する姿勢は、環境への取り組みにも表れている。めっきは廃液も生まれるが、同社は一般の水の状態にまで戻して再資源化するシステムを構築。無電解ニッケル溶液からニッケルだけを回収する自動処理機を開発し、廃液を一切出すことはない。
薬品の調合といった専門的な知識を要する行程においても改善の結果、全ラインのモニタリングシステムを自社開発することで解決した。ベテランではないスタッフが業務を行っても、常に安定した供給を確立した。
「表面処理の新しい技術を開発したいです」と中山MD。技術力に裏打ちされた自信とたゆみない努力が同社の原動力となっている。
※この情報は2015年7月現在の取材を元にしています