一般人に謝罪を強要し、何度も殴る動画が拡散
人気の絶頂から一転、地に堕ちたタレントの末路
人気司会者が一般人に暴力を振るう動画がSNSで拡散。大きな波紋を呼び、ついには……。
ことの発端は、今月4日にヤンナワ区ジャルンクルン通りで起きた事故だった。バイクを運転していた一般男性がタクシーに追突されバランスを崩し、そのはずみで黄色のBMWミニに衝突。バイクの運転手はすぐに、タクシーを追いかけたが間に合わず、諦めて現場に戻った。すると、車の持ち主から「オレの車に謝れよ」と謝罪を強要。さらに胸ぐらを掴まれながら、何度も顔を殴られた。その後、双方の間で示談が成立し、事故は収束するかに思われた。
だが、事態は一変。その様子を撮影していたやじ馬が動画をSNSに投稿し拡散。それを知ったバイク運転手の姉が車の持ち主に対し法的措置を採ると発表。警察に暴行を受けたとして被害届を提出した。世間の注目が高まるにつれ、車の持ち主がテレビ司会者として有名な大手レコード会社GMMグラミーに所属する俳優「ノット」(本名=アッカラナット)氏と判明。同氏は2009年に行われたミスターコンテストへの参加をきっかけに芸能界入り。ドラマや映画、番組司会者として若者を中心に人気のタレント。日本でいう「谷原章介」のような感じだろうか。
その後、「オレの車に謝れよ」というフレーズが一人歩き。動画も広まり、同氏はマスコミを通して謝罪した。世間からは「やりすぎだ」という同氏に対する厳しい意見が続出し、SNSは大炎上。家には卵を投げつけられる有り様で、ついには家族や周囲の人間のSNSに罵詈雑言のコメントが寄せられ、事態はエスカレート。追い討ちをかけるように、GMMグラミー社は、同氏とのタレント契約を解除。同時にテレビ局のThaiPBSも同氏が司会を務める番組と出演しているドラマの放送中止を決めた。
騒ぎを重く見たタイ保健省精神衛生局のヨンユット顧問が「ノット氏が犯した罪と、彼の家族や周囲の人への誹謗中傷は、本来は無関係。こうした行為は、精神衛生上よくない」と異例のコメントを発表するまでにもなった。世間でクリーンなキャラクターとしてひっぱりだこであったタレントも、ただ一つの過ちですべてを失うことに。SNS大国の功罪が如実に現れた一件だった。