今週のギモン「なぜタイ人はタンブンを行うの?」

今週のギモン「なぜタイ人はタンブンを行うの?」

仕事や願い事がうまくいったとき、あるいは新たな出発を迎えてお願いをしたいときなど、タイ人はお寺に足を運んでお布施をし、読経をしてお釈迦様に祈りを捧げます。
こうした実践行為のことをタンブンと言います。タイの仏教では欠かすことのできない観念で、徳(ブン)をいかに積む(タン)かで、現世ばかりではなく来世の幸不幸も決まってきます。

ブンは「善行」の意味で、お寺に参拝することだけを意味しません。社会的弱者を助ける行為や、単なる人助けもブンの一つです。お坊さんの出家の動機が、現世や来世における自分自身の幸福の追求であったとしても、それは問題ではありません。そのあたりがタイ仏教の寛容なところです。

積んだブンは行為者に留まらず、その両親や家族、祖先にまで伝播、転送されます。おもしろいことに、廻向転送されたブンは減少せず、逆に増幅すると考えられています。こうして家族や祖先が皆、幸せになっていく仕組みが誕生します。多くの家庭で母親が息子の出家を願い、わずかな期間でも息子がこれを受け入れるのは、こうした廻向転送のシステムがタイ社会でなお機能しているからです。息子にとって出家は、母親に対する最高の親孝行なのです。


 

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