タイの教育界では、地方の教員不足が深刻化している。 昨年から始まった「ふるさと教員プロジェクト」とは
先日、教員養成課程を受ける大学5年生(タイにおける教員養成課程は5年間)を対象に、タイ教育省高等教育委員会事務局が2017年度の「ふるさと教員プロジェクト」の参加者募集を発表した。都内の有名学校に教員が集中するのはもとより、地方では自分の教科専門外の指導を科せられるため、拒む教員も多いのだそう。
同プロジェクトに参加するためにはいくつかの成績条件を満たすとともに、試験および面接に合格しなければならないが、合格すれば卒業後の故郷での教員生活が保証される。
加えて、大学卒業までの奨学金がもらえるという。
そんな至れり尽くせりなプロジェクトが、賛否両論を巻き起こしている。
それは、プロジェクト参加の条件であるTOEICスコア400点以上について(日本の大学生のTOEIC平均は約450点)「地方で教員になるためにTOEICの点数って必要なの? 半分に減らせば?」という意見に対し、「高校生でも500点以上採れる。
最低限必要な点数だ」「そんな低い点数じゃ子どもを預けるのは不安だ」という批判が挙がった。
一方で、「地方で英語は必要ない」「英語は英語教師に任せればいい」といった賛同の声も強い。
最終的に同事務局は、既存の条件からの変更はないと宣言して事態は収束した。
地方出身者としては、プロジェクトがなくとも自ら進んで故郷へ戻る教員が増えることを願う。