トリックス マニュファクチュアリング(タイランド)
表面処理業及びプレス加工
バランス経営と強みの自前化がカギ一貫生産体制で順調に成長
「私は部下に仕事を教えなければいけません。そのために、自分のスキルをもっと上げたいと思っています」。今年5月下旬、「技能で勝ち残れる会社」にするため、従業員全員が参加して行われた「Thai TRIX技能オリンピック」。優秀賞に輝いたタイ人スタッフの一人はこう言って、受賞を喜んだ。2014年に始まった社内イベント。参加者らの表情は真剣そのものだ。「“技能を磨きたい”という動機で取り組んでいます。作る喜びを極めることで、幸せを分かち合ってほしい」。青木典夫マネージングダイレクター(以下MD)は目を細めた。
親会社の前身は、1968年創業の「東海メッキ工業」。表面処理事業からスタートし、現在はプレス板金加工ほか一貫した製品工程を実現。これを海外市場でも提供しようと考え、96年にタイへ進出した。
11年の赴任時に向こう4~5年後を見据えた成長戦略を描き、カギとなる二つの柱に「バランス経営」と「自前化」を挙げる。前者はリスク分散と言い換えてもいいだろう。二輪車向け製品の比重が大きい現状を、四輪あるいはそれ以外に順次、分散・拡大化させていく方針だ。一方、後者は経費削減と効率化の必要性が生まれたため。タイ国内の労働賃金はこの20年で数倍にも上昇。これを補うために導入したのが、生産ラインの見直し“カイゼン”と、強みの自前化だった。プレス加工は03年に始動。日本工場と同様の一貫生産体制が実現することができた。冒頭のタイ人スタッフの言葉は、事業が順調に軌道に乗っている証なのだろう。
※この情報は2015年7月現在の取材を元にしています