ユアサ・トレーディング(タイランド)
工作機械などの販売および保守点検
歴史に裏付けられた圧倒的な仕入力
タイを営業拠点から営業技術拠点に
創業348年。異色の工作機械・産業機器などの総合商社が日本にある。1666年、京都に炭の販売業として端を発したのが、現在は東京に本社を置くユアサ商事。4,400億円強の年商のうち工場関連部門が6割、残りを住宅関連部門が占める。工作機械の取扱金額では日本国内トップ。同業他社の中で、同社だけが1割強のシェアを維持している。
タイ進出は1974年。米国に次ぐ海外展開で、中国にもまだ現地法人はなかった。タイ法人ユアサ・トレーディングの主力事業は、工作機械の販売および保守点検。数千社を超える日系企業がひしめく製造業拠点タイで、不動の地位を占める。さらに、拠点を持たないメーカーの保守サービスも代行している。
その強さの源泉は、日本国内に張り巡らされた仕入れネットワークだ。歴史に裏付けられた圧倒的な仕入力が顧客の安心を生んでいる。毎週の定期航空便が工具や部品、消耗品をタイに運んでおり、アフターサービスにも不安を感じさせない。安価な台湾製機器の調達ルートも万全。日本国内では卸売業に位置する業界大手がタイ国内では直接販売を手がけ、多くの日系企業の事業を支えている。顧客の7割は自動車関連、残りが電子・電器などだ。
国内と海外、事業部ごとにありがちな垣根が払拭されているのも同社の強み。縦割りの弊害が発生しにくいよう人事交流も盛んで、顧客や製品情報が幾重にも社内共有されている。「今後はエンジニアリング機能を強化していきたい」と話すタイ法人の中澤岳宏社長。「ただ物を売るだけではダメ。商社といえども技術を持たなければ将来はない」と意気込む。